タイトルタイトルタイトル

 ■マニア野郎■ 
■作:イマジンカイザーさん■

 それは今より少し前の春の半ばの頃でした・・
今日もコメットさんは双子の兄妹と共に近くの公園で遊んでいました。
ちょうど鬼ゴッコをやっていたようで3人のはしゃぎ声が近くの民家まで聞こえてきます。
コメット「そーれ、タッチ!」
ツヨシ「あっちゃ〜捕まっちゃった〜!」
ネネ「あはは!次はツヨシ君鬼だぁ〜♪」
ツヨシ「ふーんだ!すぐ捕まえてやるもん!」
ちょうどその時一人の男が通りかかり、彼はしばらくコメットさんの様子を見ていると急に走り出し、
コメットさんの前に駆け寄りこう言いました。
「き、君、私の写真のモデルになってくれないか!?」
コメット「うわっ、なんですか急にっ!?」
ネネ「・・おじさん、だぁれ?」
男は少し後ろに下がり名刺を差し出し、
「いやぁ、失礼。私は吉田達郎、君みたいな女の子の写真を撮って写真集にしている者さ。」
コメット「じ、じゃあ私もその写真集にっ!?」
吉田「はは、随分錯乱してるようだね。まあ私も無理にとは言わない、どうだろう?」
コメットさんはもちろん断るつもりだったが、彼の目に映る輝きにはどうも逆らいがたく
「・・・分かりました、お願いします。」と、あっさりOKしてしまった。
吉田「い、いいんだね!じゃ早速・・・」
コメットさんは言われるがままに海の近くの彼のスタジオへと連れ込まれ、いろんな服装、ポーズで撮影されていった・・
それから早3時間、コメットさんはようやく吉田から解放されツヨシ達の所に戻ってきた・・
ネネ「ね〜どうだったコメットさん?」
コメット「ふう、いろんな事して疲れちゃった・・」
ツヨシ「どんな写真撮られたの?まさかぬう・・(以下略)」
このあとツヨシ君は二人の冷たい視線によって泣き出してしまったとさ・・・
           *
 それから1ヶ月たったある日の午後・・
ケースケは練習も昼で終わったのでやる事がなく街中をあてもなくうろついていました。
今日は藤吉家の夕飯に呼ばれているのですこしでもお腹を減らしておこうと言う魂胆でしょう。
  ふと何かに導かれるように裏の路地を曲がってみると、いつもは寄らないような本屋を見つけました。
「へぇ、こんなとこに本屋が、まあ暇だし見てみるか・・」
興味本位で中に入って新刊コーナーをのぞいていると、
「う、うおおおおおおおう!?」
そう、前にコメットさんが前に撮影されていた写真集が新刊コーナーに並べられていたのです。
運良くカバーが貼ってなかったので彼はものすごい顔でページを開いてゆきました・・・
そこにはコメットさんの水着姿やら、浴衣やら寝顔などがところせましと並んでいて、
ケースケの呼吸はしだいに荒々しくなってゆき、見終わる頃には彼の顔は完全な「マニア顔」に変貌しており、
隣で立ち読みしてた人は2,3cmほどひいていました・・<笑
そして本を荒っぽく置いたかと思うと大声で「買うぞぉ〜〜!!」叫んで家にものすごいスピードで走って行ってしまいました・・・
          *
ほとんど同時刻の午後・・
今日はイマシュンのライブの為、裏方さん達が大急ぎで準備を進めている頃、瞬は何の連絡も無しにやって来た吉田と 話していました・・・
シュン「随分久しぶりじゃん、吉田さん、どしたの?」
どうやら昔から面識がある様子。
吉田「いや、最近また面白い娘の写真集を作ってね〜、今持ってきたんだけど、見るかい?」
シュン「じゃあ、ちょっと見せてもらうよ・・!!?う、うおおおおおおう!?」
吉田「おい、ど、どうした!?そんな声出して!」
シュン「・・黒岩さん、本番まであとどれくらいですか?」
黒岩「ん・・あと二時間ちょいだが・・?」
シュン「オ、オレ、さ、散歩行ってきます!!」
黒岩「うおい!?ど、何処行く気だぁ!」
シュンはこの辺の地図と金を握り締め何処かと走り去った・・
そのあと、ケースケは超人的なスピードで鎌倉市内を駆け抜け自分の家から財布を取って来て戻ってきました。
そんなスピードを出したもんだから、彼の顔は酸欠で青くなり気も多少遠くなってきました。
「ハァ・・、ハァ・・、やっと買えるぞ・・・・」
そう思いおもむろに手を伸ばすと、隣にも手がある事に気付き歯を食いしばって横をみてみると・・
ケースケ「イマなんとかーーーーっ!?」
シュン「うわっ、前(第10話参照)でオレにからんできた奴−−−っ!?」
どうやらシュンもライブ会場から一番近い本屋を地図で探していて、偶然一緒になったようです・・
二人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(お、落ち着け・・冷静になればごまかせる・・)
ケースケ「よ、よお・・・」
(ヤ、ヤベェ!言われる前に先制攻撃だ・・!)
シュン「お、おう・・・き、奇遇だねぇ、分かりにくい場所の本屋でわざわざその写真集を買いに?」
ケースケ「!!写真集?何言ってんだい、オ、オレは今そこの、音楽雑誌を取ろうとしていたとこさ・・」
シュン「ほ、ほほう・・」
ケースケ「それよりお前こそそのだっさいサングラスで顔を隠してまでわざわざこの写真集を買いに?」
シュン「!!ハ、ハハハ、そ、そんな女の子なんか全然興味ねえよ!オ、オレも奥の・・」
と言いかけて、奥の棚を見ると運悪くそこはアダルトコーナーだったのです・・・
ケースケ「ほほう・・こちらの・・?」
シュン「いや、こっちのじゃなくて・・」
そう言うと彼は腕を180度回転させ、後ろの棚に手を伸ばし、なぜか置いてあったタウンページを手に取った・・
シュン「ほら、な!?このタウンページを・・」
ケースケ「(ひ・・必死だよコイツ・・・・!!)
う、ウソつけ!無理矢理すぎるだろ!正直に言えよ!
その子の写真集を買いに来たんだろう!?」
シュン「アハハハ、スターのオレがこんなの買うかよ!?
お前こそほんとは欲しいんじゃねぇの!?」
ケースケ「アア?なに言ってんだオイ!おれはこういう目のパッチリした彼女にしてぇタイプは苦手なんだよ!」
もはや酸欠のことなどすっかり忘れて語るケースケ・・
シュン「オ、オレもだ!このきれいなピンク色の髪がなんともダメなんだっ!」
ケースケ「それでいて男に媚びないようなこの目・・たまらなくイヤだぜ!」
シュン「そ、そうそう・・」
こうして心にもないコメットさんへの悪口が続く・・
このままではマズイと思ったシュンは反撃に出ました・・
シュン「おれ・・買おっかな、これ・・・」
ケースケ「!!」
シュン「よし!試しに買ってみよ!」
ケースケ「ま、マジかよ!?待てよオイ!それはもう違くねー!?お前それはファンの証だぞ・・?」
シュン「バカ、違うって、ネタだよネタ!ちょうど金も余ってるからさ・・」
ケースケ「金が余ってるからって買うのはおかしいだろ!?ファンなんなら認めるけどよ・・」
シュン「ハハ、コレくらいの金スターのオレにとっちゃ屁でもねぇからだよ!」
ケースケ「いや、実はオレもコレを買いてぇんだ!もちろんオレのじゃないぜ、近所の子供への土産によ・・」
シュン「悪いがよそで買ってくれ、これはオレのだ!ほら離せって!」
ケースケ「ああ?お前こそ離せよ!やる気か!?」
シュン「離せって言ってんだろ!?」
さすがにこの険悪なムードに気が付いたのか、店員さんが仲裁に入りジャンケンで決めたらどうだと提案しました。
すると・・
二人「望むところじゃあ!!!」
と、凄い勢いでジャンケンを始めました。
しかしどんなにやっても決着は着かず店はついに閉店となってしまいました・・
ケースケ「・・ケッ、お前のせいでしらけちまった・・」
シュン「それはこっちのセリフだぜ・・」
ケースケ「おい!お前今度会ったら覚えとけよ・・
一緒に子一時間程語り合うぞコラァ!」
シュン「いつでも来いや、おごってやるよ・・」
なぜか二人の顔はすこし笑っていたのでした・・・
と、ここで終わればよかったのですが、当然のことながら本屋の閉店時間までいなかったので、
ケースケは藤吉家+コメットさんさんざん怒られ、シュンは開演時間を相当オーバーしたので黒岩さん+スタッフの皆さんにさんざん怒られたのでした。
            完


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